次いで長谷寺へと足を延ばす。と言っても、長谷寺がどういうお寺か全く知らない。「長谷寺…奈良じゃなかったけ…?」と思うくらい。が、この思い、全く的外れでもなかった。どういうことかは後ほど。
階段を登っていくと正面に観音堂があるので早速入ってみる。すると、まぁ大きな観音像が祀られている。大きさに圧倒されるという点では、先ほどの大仏以上だ。よく見てみると観音様の頭に複数の顔がある。このあたり、知識の無さがなんとも悔やまれるところである。「なんだか阿修羅マンみたい」っていう口に出せない感想しかなかったもの、その時は。
長谷寺の敷地は高台にあって、そこから鎌倉の町を一望することができる。この日はあいにく曇り空で空気もかすんでいたため、景色を堪能することは叶わなかったが、これはまたおいでということなのだろう。
さて、お寺巡りをもう少し味のあるものにするためには、その方面について多少の知識は持っておいた方がいいだろうということで、神戸に帰ってから鎌倉のお寺等についてまとめた本を購入。
どうやら奈良の長谷寺との関係は次のようなものである。
その昔、徳道上人が一木から二体の観音像を刻む。この内一体を祀り、奈良の初瀬に長谷寺を創建。もう一体を海に流す。どこか縁のある土地で衆生を救ってくれるようにと願いをこめて。上人、ロマンチストである。十余年の後、三浦郡は長井浜に漂着、長谷の地に移され、長谷寺が建立されたというわけだ。こういった縁起があるのを知ったとき、なんだか嬉しくなったのはなぜだろう。
帰ってからしみじみと味わいが生じた長谷寺である。